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治療費はどこまで請求できる?

公開日: : 最終更新日:2014/12/18 示談金増額の知識

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治療費を打ち切られて困っている
治療に健康保険や労災を使うメリットは?
治療費は全額もらえるの?

といった疑問はありませんか?

このページでは、交通事故被害者が悩むことが多い、治療費の支払い方法や、治療費打ち切りの対処法についてご説明します。

被害者にとって、有利な治療費の支払い方法を理解しておきましょう。

治療費は被害者が負担するのか?

治療費は、最終的には加害者(保険会社)が負担することになりますが、まずは被害者が病院に支払うことになります。

病院によっては、直接、加害者の保険会社に請求してくれる場合もあります。病院が直接支払ってっくれない場合は、被害者が病院に支払い、その支払った額を後で加害者や保険会社に請求することになります。

支払った治療費は、後々戻ってくるにせよ、一時的には被害者が立て替えることになり、治療費が高額になると被害者にとって大きな負担になります。

保険会社が病院に直接、治療費を支払ってくれる場合もあるので、加害者の任意保険会社に相談してみるようにしましょう。

被害者に過失分の治療費は、被害者が負担

もしも、あなたに過失があった場合は、あなたが支払った治療費から、あなたの過失分が引かれます。

例えば、治療費が200万円かかったとします。そして事故の過失割合は過失割合は80(加害者)対20(被害者)だったとします。その場合、治療費の200万円から、あなたの過失20%の40万円が引かれて、160万円があなたに戻ってきます。

治療に健康保険を使った方が良い理由

治療には健康保険が使えます。世の中で言われている「交通事故には健康保険が使えない」というのは間違いです。健康保険を使うメリットは

  • 立て替える治療費が安くなる
  • もらえる賠償金が増えるケースがある
  • 一定額を超えた治療費が戻ってくる

という3つのメリットがあります。逆にデメリットは特にありませんので、健康保険は使うことをお勧めします。ではメリットをご説明していきましょう。

立て替える治療費が安くなる

健康保険を使うと、治療費の自己負担額は3割ですので、被害者が治療費を立て替えていた場合の負担は軽くなります。

自由診療ですと、集中治療室に入るような重傷の場合は、一晩で200万円や300万円かかることも珍しくありません。自由診療の治療費は、被害者にとって大きな負担になるため、できるだけ健康保険を使うことが重要なのです。

もらえる賠償金が増えるケース

2点めのメリットです。被害者に過失がある場合は、健康保険を使うと賠償金が増えるケースもあります。下の例をご覧ください。
治療費が200万円、その他の損害が100万円の合計300万円の事故のケース。過失割合は80(加害者)対20(被害者)だとします。
【表】
保険使用の場合 使わない場合
治療費100万✕30%負担で30万
その他の損害300万
合計330万✕過失80%=264万円
264万円-30=234万円が実際の賠償金

治療費200万
その他の損害300万
合計500万円✕過失80%=400万円
400万円-200=200万円が実際の賠償金

注目すべきポイントは、健康保険を使った場合の治療費です。健康保険を使うと自由診療に比べて治療費が半額程度になりますので、200万円が100万円程度になります。さらに健康保険の自己負担は3割ですので治療費は30万円になります。

このケースですと、保険を使った場合、使わない自由診療と比べて、34万円も手取り額が多くなることがわかりました。

この3点のメリットがあるため、被害者はできるだけ治療に健康保険を使うことが大切です。

一定額を超えた治療費が戻ってくる

健康保険(国民健康保険も含む)には、同一の月に支払った医療費が、一定の限度額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる高額医療制度というものがあります。

こちらについては示談金以外にももらえるお金まとめで詳しくご説明しております。

健康保険を嫌がる病院の対処法

病院で「交通事故には健康保険は使えません」と言われることがあります。これは間違った知識でそう思い込んでいるのか、それとも自由診療にすると治療費を高く請求できるから、健康保険を使わせたくないのかもしれません。

そんな場合は、まず「加害者が治療費を払ってくれない可能性もあるので、健康保険を使いたい」と言ってみて病院側を説得しましょう。それでも拒否されるようであれば、他の病院を探したほうがよいかもしれません。

なぜなら、交通事故において、病院の存在はとても重要だからです。ケガの治療だけでなく、治療を終了するタイミングや、もしも後遺症が残った場合は、慰謝料の増額にとても重要な「後遺障害診断書」を作成してもらうことになります。

病院の対応によって、あなたがもらえる損害賠償額が大きく変わることがあります。怪我をしっかり治すことや、納得のいく損害賠償金を得るためにも、親身になってくれる病院を選ぶことは、とても重要なことです。

どうしても健康保険を使わせてくれないようであれば、新しく病院を探すことを検討したほうがよいでしょう。

途中から健康保険に切り替えることはできる?

切り替えることができます。健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」という書類を送付します。その書類には加害者の署名と捺印がひつようですので、加害者の保険会社に相談しましょう。保険会社としても治療費負担額が減るメリットがあるので、応じてくれると思います。

労災が使えるのに健康保険を使ってしまった場合

間違って健康保険を使ってしまった場合でも、途中から労災に切り替えることができます。今まで自己負担した治療費を返還してもらえます。ただしいくつかの手続きが必要です。

まず、自己負担しなかった7割分の治療費を医療機関に支払って、その分の領収書と診療報酬明細書をもらいます。その後に、自分で負担した3割分の領収書、診療報酬明細書を添付して、労働基準監督署に全額を請求します。

示談が成立した後の治療費は?

一般的には、治療が終了してから示談することになりますが、示談の後にも治療をするケースはあるとおもいます。その場合も健康保険は使えますが、自己負担分の治療費は、被害者が負担することになります。

仕事中/通勤中の事故は労災を使う?

使うことができます。労災とは労働者が業務上や、通勤途中に負傷したり、障害を負ったり死亡した場合に補償される保険です。健康保険での治療は3割の個人負担がありますが、労災には個人負担が一切ないところが特徴です。

ただし、通勤途中で寄り道をしていた時、事故にあった場合などには労災は適用されません。例外などもあるので会社の担当者と相談してみましょう。

治療費を打ち切られた場合

被害者のケガが、症状固定(治療の効果がなくなった状態)になるまでは、原則として治療費の全額を保険会社から支払ってもらうことができます。

ですので、加害者の保険会社に「もう治療費は払えません」と言われても、医師と相談して治療に必要があれば、治療を続けてください。治療を終了する判断は、保険会社がするのではなく、医師がすることです。

もしも、保険会社から治療費の支払いがストップされて、その後に医師の判断で症状固定となったのであれば、症状固定までの未払いの治療費を保険会社に請求しましょう。

治療費が自賠責枠120万を超えた場合

自賠責保険の枠を超えてしまった治療費などは、加害者の任意保険会社が負担することになりますので、特に気にすることはありません。損害賠償のカバーする仕組みは自賠責保険(強制保険)と任意保険の違いをご覧ください。

複数の病院での治療費もすべて請求できる?

複数の医療機関へ、同じ時期に受診する場合には注意が必要です。なぜなら、必要以上の治療をする過剰診療に該当する可能性があるからです。各病院での治療が一部重複している場合、一部の治療費が認められなかった判例もあります。

ですので、例えば、整形外科と鍼灸整骨院で治療するなどの場合は、加害者の保険会社に相談すると良いでしょう。

病院を転院する場合

病院は治療途中で変えても問題ありません。診療時間や、場所の関係で病院を変えたほうが、便利になることもあります。

ただし、

  • はじめから通っていた病院でないと、後遺障害診断書の作成が難しくなる
  • 通院交通費が変わる可能性がある

ことから、保険会社とトラブルになる可能性もあるので、保険会社にひと言断ってから手続きをすすめましょう。

また、転院するには、今の病院から新しい病院への、治療経過などの引き継ぎが必要です。さらに賠償金の請求などで、今の病院の診断書や治療証明書などが、必要になることもあるので、できるだけ円満に転院できるようにしましょう。

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