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損害賠償金(慰謝料/示談金)の中身と内訳

公開日: : 最終更新日:2014/12/18 示談金増額の知識

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保険会社から示談金の提示があったが、よくわからない。

そのような悩みはありませんか?

保険会社から提示された示談金(損害賠償金/慰謝料)に、少しでも疑問がある場合は、必ずこの記事を読んでください。被害者が補償されるべき損害は、たくさんあるのです。

被害者が「補償されるべき損害」の知識に乏しいので、保険会社が、相場よりも低い示談金(損害賠償金/慰謝料)を提示してくるのです。これでは十分な補償が受けられるわけがありません。

被害者自信で損害項目や損害額をチェックして請求することが重要です。保険会社任せにしてはいけません。請求できるものを確認して、めいっぱい納得のいく金額を請求しましょう。

慰謝料はブラックボックスではない

通院交通費や診断書の費用、眼鏡の修理代などの費用について保険会社から

「それらの費用は慰謝料に含んでいます」

と言われた被害者の方が、たまにいらっしゃいます。慰謝料は、どんな損害でも含むものではありません。きちんと損害の項目を分けて計算するべきです。

慰謝料に含むことで、損害の金額が不透明になって、示談金(損害賠償金/慰謝料)が不当に下げられる可能性があります。

このページを読んで、被害者がもらうべき損害をしっかり頭に入れて、保険会社の担当者に反論する知識を手に入れましょう。

損害賠償額は4つの合計

【画像】
被害者がもらえる補償は、以下の4つの合計になります。

  • 積極損害(出費の損害:治療費など)
  • 消極損害(減収の損害:仕事を休んだ減収など)
  • 慰謝料 (肉体的/精神的苦痛の損害)
  • 物的損害(壊された物の損害:車の修理費など)

では各損害には、どのような費用があるのか、細かく見て行きましょう。

積極損害の内訳

【表】
救護費 病院までの救急搬送費など
治療費 診察料/投薬料/入院費/手術費など
接骨院費 整骨院/鍼灸/マッサージ費など
温泉療養費 温泉医療施設での治療費
付添看護費 入院/通院の付添看護費
通院交通費 通院/転院/入院/退院の交通費
入院特別室料 個室などの料金
入院雑費 下着/食器/電話代など

装具/器具購入費 車椅子/コルセット代など
将来介護費 重度な後遺障害の場合
家/自動車改造費 トイレ/風呂などの改造費
子供の学習/保育費 家庭教師代など
家政婦費 実際にかかった費用
留年/浪人の経費 1年間の学費など
弁護士費用 訴訟の場合
文書費 診断書などの費用

救護費

交通事故直後にかかる費用。事故現場での応急処置の費用や、病院までの救急搬送費用。例えば、事故現場近くの住宅や店舗で応急処置を受けて、じゅうたんや布団などを汚した場合の費用も含みます。

治療費

診察料や検査料など、症状固定(治療の効果が感じられなくなった状態)までの治療にかかった費用。保険会社が病院に直接支払うのが一般的ですが、あなたが払っている場合は、病院の請求書や領収書の全額が請求できます。具体的には以下のご覧ください。

【表】
将来の手術費(診断書が必要)
診察料/検査料/画像診察料/注射料/投薬料/入院費/手術費/
歯科治療費
医師が指示していない、整骨院の最先端医療機器による治療や、健康保険や労災保険を使わない自由診療などの高額医療。
必要性がないのに特別室に入院したりする過剰医療。
もともとあった持病の治療費。

後遺症が残る場合、症状固定(治療の効果が感じられなくなった状態)後の治療費は原則、請求できません。その場合は、下でご説明する後遺障害慰謝料や、逸失利益で補償されます。

接骨院費

整骨院/鍼灸/マッサージなどの民間療法の費用。これらの費用は、

  • 主治医の指示があること
  • 柔道整復師/指圧師/鍼灸師など資格者の施術
  • 施術の効果があること

の3つの条件を満たさなければ認められません。無資格者の施術や、カイロプラクティックや酵素療法などの特殊な療法は一切認められていません。

温泉療養費

温泉療養費と聞くと「観光地の温泉旅館でゆっくりする」と思いがちですが、そうではありません。温泉療養とは温泉地の病院に入院して、温泉を使った治療を受けることをいいます。こちらも接骨院費でご説明した2つの条件を満たさなければ認められません。

付添看護費

近親者(被害者と同居の家族と3親等以内の親族)や職業看護人(看護師や家政婦)が被害者を看護した場合の費用。

  • 重度な後遺障害がある被害者
  • 幼児や高齢者や身体障害者の被害者

で、一人では入院通院ができない場合認められる費用です。請求できる付添看護費は、自賠責基準と裁判基準で違います。下の表をご覧ください。
【表】
※幼児を付き添う母親が、仕事を休んだことで、4,100円以上の収入が減ったことを証明できる場合は、19,000円を上限として請求できる。

付添看護費の請求には、被害者が小学6年生(12歳)以下場合は、医師の証明書は必要ありません。13歳以上の場合は医師の証明書が必要ですので、医師の指示に従うことが重要です。

付添看護費と自宅での看護費の両方が認められるケースがあります。例えば長男が入院して母親が付き添った場合、自宅に残された11歳以下の次男や、付き添いが必要な障害者や高齢者の看護料を請求できます。

通院交通費

通院/転院/入院/退院の時に使った交通費。具体的には下の表をご覧ください
【表】
バス 実際にかかったバス料金
電車 実際にかかった電車料金
自家用車 ガソリン代(1kmあたり15円)/高速代/駐車場代
タクシー 実際にかかった電車料金(被害者の年齢や症状など特別な事情がある場合のみ)

付添看護人がいる場合は、被害者と付添看護人の両方の交通費が認められます。入院中の被害者に付き添うために使った交通費は、付添看護費になります。

遠距離の病院に通院する場合は

  • 被害者の住んでいる場所に病院がない
  • 主治医が専門病院への受診を指示した

などの場合に限って認められます。さらに、この場合は宿泊の必要性があれば、妥当な金額が請求できます。

入院特別室料

入院の室料は、その病院の平均の室料を基準に計算します。そして通常は治療費の入院料に含まれます。しかし、医師の指示で治療上、個室が必要だった場合や個室しか空室がない場合は特別室料金が請求できます。

特別室料を請求するには、医師の証明書が必要ですのでご注意ください。

入院雑費

入院中にかかった雑費。領収書を提出しなくても請求できます。自賠責基準では入院1日あたり1100円、裁判基準では入院1日あたり1500円程度請求できます。この基準額を大幅に超える雑費は、領収書があったとしても原則認められません。

装具/器具購入費

医師が認めた以下の器具購入費が認められています。
【表】
※交換が必要な場合は、将来の費用として認められます。

将来介護費

高次脳機能障害など重い後遺障害が残って介護が必要になった場合の費用。原則として後遺障害等級の別表第1の、1級1号または2級1号の場合認められます。症状によって3級以下の高次脳機能障害にも認められる場合があります。

職業付添人(看護師やヘルパー)は実費を全額、近親者が付き添う場合は、1日8,000円を基準に請求できます。その場合、介護の実態がどのようになっているのか、必要性があるのかを証明するための資料を用意することが重要です。

家/自動車改造費

後遺症が残ったことで、家の中やトイレ/お風呂などのリフォーム、ベッド/椅子などが必要になった場合の費用。

認められるのは、必要最小限の費用のみで、家や車を快適にしたりするための費用は認められません。例えば、下半身麻痺などで車椅子が必要となり、自力で車に乗れない場合などは請求できます。

子供の学習/保育費

治療のために、子どもを保育施設などに預けた場合の費用。他には、治療で学校を休んだことによって、学習が遅れた場合の家庭教師費用も請求できます。

家政婦費

交通事故によるケガで食事を作ったり、掃除洗濯など家事ができない場合の家政婦費用。実際にかかった額を請求できます。

留年/浪人の経費

事故によって、以下の学校に留年や浪人した場合、それによってかかった費用を請求できます。

  • 幼稚園
  • 小/中/高等学校
  • 高等専門学校
  • 大学
  • 盲学校
  • 聾学校
  • 養護学校

弁護士費用

損害賠償請求を弁護士に依頼した場合、損害賠償額の10%程度を上限として認められます。たとえば、損害賠償請求の認容額(判決で認められた金額。弁護士費用は除く)が2000万円だとした場合、認められる弁護士費用は200万円前後になります。

ただし、裁判上の和解や、裁判にならず調停で解決した場合の弁護士費用は原則、請求できません。

文書費

診断書や交通事故証明書、被害者の印鑑証明書/住民票などの書類を取るのにかかった費用。取りに行くためかかった交通費や郵送料は認められません。取った時にもらった領収書が必要です。

消極損害の内訳

【画像】
←   ●   →
休業損害 症状固定 逸失利益

休業損害 事故で働けなくなった損害
逸失利益 後遺症で失った将来の収入

休業損害

交通事故で負傷した被害者が、入院や治療のために働けなかった分の損害。
例えば、交通事故の治療で仕事を休んだために、会社から給料の一部や全部が支払われなかった場合。その他にもボーナスが減っり支払われなかった、などが考えられます。給与所得者だけでなく、家事をしている専業主婦なども認められます。職業者や年収などによって計算方法がかわります。

休業損害は【休業損害はどこまでもらえるのか?】で詳しく解説しています。

逸失利益

後遺症が残ったことによって、仕事に集中できなくなったり、ひどい場合は仕事自体ができなくなることがあります。交通事故に遭わなければ得られたはずの収入が、得られなくなるのです。

このように、後遺症が残ったために失った、将来得られたはずの収入のことを、後遺症による逸失利益と言います。被害者の年収に失われた労働能力と、失われた期間を掛けて計算します。

逸失利益についても重要な点が多いので、【逸失利益利益の詳しい計算方法】で詳しく解説しています。

慰謝料の内訳

交通事故で後遺症が残った場合は、下の2つの慰謝料をもらうことができます。

【表】
入通院慰謝料 入院や通院する苦痛への慰謝料
後遺障害慰謝料 後遺症の苦痛への慰謝料

入通院慰謝料

入院や通院するうえでの、痛みや苦しみなどの精神的損害に対する賠償金です。後遺症が残っていない場合でももらえます。

慰謝料の金額は、ケガをした部位や程度、入院や通院の期間によって計算されます。算定の基準は公表されていませんが「交通事故損害額算定基準(青い本)」や「交通事故賠償算定基準(赤い本)」に記載された基準がよく使われています。

詳しい計算方法は【後遺症慰謝料の詳しい計算方法】をご覧ください。

後遺障害慰謝料

後遺症が残ったことによる、精神的苦痛に対する賠償金です。後遺症が特に残っていない場合はもらうことができません。

後遺障害等級(後遺症の重さの等級)が認定されていなくても、後遺障害慰謝料が認められることがあります。しかし、多くの場合は後遺障害等級が慰謝料の計算で重要視されます。

等級ごとの慰謝料や計算方法は【後遺症慰謝料の詳しい計算方法】をご覧ください。

物的損害の内訳

物損に関する賠償は通常、上でご紹介した人損の賠償とは分けて、先に処理されます。どんな損害が認められるのか下の表をご覧ください。
【表】

→修理費
→評価損
→代車使用料
→代車使用料
→休車補償
→登録費用
車以外
→服
→雑費
→家屋修繕費
→積んだ荷物
→ペット

入院中に身内が駆けつけた場合の新幹線代は?

重傷で入院した場合、入院初期に被害者の両親が駆けつけた場合の交通費は、一般的に認められます。ただし、被害者との関係の近さやケガの重さによって判断されます。

通院日以外に診断書を取るために病院に行った時の交通費は?

通院日以外の交通費は、認められません。もしも診断書を取るためだけに、仕事を休んだ場合の休業損害も認められません。

父が事故で入院したので、家族旅行をキャンセルした場合は?

認められると考えてよいでしょう。例えば、父/母/子ども3人の5人家族が同居していた場合、同居の親子が入院して、家族旅行をキャンセルした場合、キャンセル料は認められます。

ただし、こちらについてもケガの重さや、被害者との関係の近さ、旅行の行き先や、キャンセル料金によって判断されます。

治療費などの領収書をなくした場合は?

治療費の領収書をなくした場合は、病院の窓口で「診療報酬明細書」を請求しましょう。診療報酬明細書には実際あなたに、いつどんな治療を行ったかが書かれています。

タクシーの領収書をなくした場合は、いつ、どこからどこまで乗ったのかをメモしましょう。器具などその他の物の領収書がない場合は、いつ、どこの店で、物のメーカーや型番などをメモしましょう。

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