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自賠責保険(強制保険)と任意保険の違い

公開日: : 最終更新日:2014/12/18 自動車保険金請求のしくみ

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自動車保険には自賠責保険(強制保険)と任意保険があります。

自賠責保険ってどんな保険なの?
自賠責保険と任意保険はどちらを先に使うの?

というように、自賠責保険と任意保険の役割や使い分けを、よく理解していない被害者が多いと思います。

交通事故の示談交渉で損をしないように、各保険の違いを把握しておくことが重要です。

自賠責保険と任意保険の違い

【画像】
自賠責保険は一言で言うと
「強制的に入る、補償の限度額がある保険」

任意保険は
「必ず入る必要のない、交通事故全般の補償をする保険」

です。
上の表に特徴をまとめましたので、詳しくご説明していきます。

保険の目的

自賠責保険は、被害者の最低限を早く補償するのが目的の保険。それに対して、任意保険は、自賠責保険の限度額を超えた部分を補償する保険です。下の【損害賠償は3段階構造】でも、わかりやすくご説明しています。

加入の義務

ナンバープレートがついた車は、法律によって必ず自賠責保険に加入する義務があります。自賠責保険に未加入の車を運転した場合は「1年以下の懲役、または50万円以下の罰金」など重い罰則が定められています。

一方、任意保険は、加入の義務はありませんので、入っていなくても罰則などはありません。

保険金が支払われる時期

任意保険の保険金(慰謝料/損害賠償金/示談金)は、ほとんどの場合、示談交渉が終わってから支払われます。ですので、示談交渉が長引くと、治療費や生活費の支払いで苦しむ被害者が多いのです。

しかし、自賠責保険は「被害者を早く救済」が目的ですので、示談が終わる前でも、仮渡金や内払い金として、保険金を前払いしてもらえます。詳しくは【自賠責保険へ被害者請求する方法】をご覧ください。

補償の限度

自賠責保険から支払われる保険金は、以下の上限があります。

  • 後遺症がない場合:120万円まで
  • 後遺症がある場合:最高4000万円まで(後遺障害等級による)
  • 死亡の場合:3000万円まで

ちなみに、この上限は、国で統一されており、どの自賠責保険会社でも同じです。そして、この限度額を超える部分は任意保険が補償することになります。

それに対して、任意保険は保険会社や保険プランによって、補償の範囲や限度が変わるのが特徴です。

過失相殺

まず、過失相殺とは、どういう意味なのかご説明します。

過失相殺とは、加害者だけでなく、被害者にも過失(不注意)があった場合、被害者の過失の度合いに応じて損害賠償額が減らされること。

任意保険は、被害者に過失があった場合、細かく査定して、きっちりと過失相殺(損害賠償金を減額)されます。

しかし、自賠責保険では、被害者に重大な過失が(被害者の過失が70%以上)あった場合以外は、過失相殺されることはありません。

損害賠償は3段階構造

【画像】
次に自賠責保険と任意保険が、損害賠償をどのように補償するか見てみましょう。

図のように、損害賠償は3階建て構造になっています。交通事故の損害は、まず自賠責保険が支払います。

自賠責保険金には限度額がありますので、自賠責で補えない部分を任意保険がカバーします。さらに、任意保険でも補えない部分は個人負担となります。

被害者は誰と示談交渉するのか?

では被害者は、どこに保険金を請求すればいいのでしょうか?
加害者のケースにあわせてご説明します。

加害者が自賠責保険と任意保険に加入の場合

【画像】
一番多いケースですが、この場合はほとんどが任意保険と示談交渉になります。加害者が任意保険会社に、示談交渉の代行を依頼しているためです。

任意保険会社の担当者は交渉のプロですから、示談交渉が、うまく進まず長引くことが予想されます。もしも、示談が長引き、生活が苦しくなった場合は自賠責保険に仮渡金を請求します。

そうすると、任意保険会社と示談交渉中であっても、自賠責保険の限度額までの保険金(慰謝料/損害賠償金/示談金)を先取りできます。詳しくは【自賠責保険の被害者請求をする方法】をご覧ください。

自賠責保険に、先に請求しない場合は、示談が終わってから、任意保険会社から、自賠責保険の分も一緒に保険金が支払われます。

後日、任意保険会社は、建て替えた自賠責保険分の保険金を、自賠責保険会社に請求します。

加害者が自賠責保険のみ加入の場合

【画像】
任意保険に入っていないので、加害者と示談交渉となります。この場合、双方とも感情的になってしまい、話し合いが進まないことも多いため、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

示談を弁護士等に任せない場合は、示談書を作っておきましょう。絶対に口約束で済ませてはいけません。作った示談書は『強制執行認諾約款付き公正証書』にしておくことも重要です。

『強制執行認諾約款付き公正証書』にしておくことで、加害者が損害賠償金を払わない場合に強制執行で、財産を差し押さえれます。

示談が成立したのに、加害者が損害賠償金(慰謝料/示談金)を支払わない場合や、示談中で生活費等が苦しい場合は、自賠責保険会社に仮渡金を請求します。

そうすると、示談交渉中であっても自賠責保険の限度額までの保険金(損害賠償金/示談金)を先取りできます。詳しくは【自賠責保険の被害者請求をする方法】をご覧ください。

自賠責保険の限度額を超えた分の、損害賠償金は加害者が負担することになります。このような場合、加害者に損害賠償金を請求しても、全額を支払う能力がないことが考えられます。

そうなると、あなた(被害者)が入っている任意保険の契約内容を、確認することになります。入っている任意保険の約款(小さな字で書かれている条項のこと)に

  • 無保険者傷害条項
  • 搭乗者傷害条項
  • 人身傷害条項

があれば、加害者からもらうべき損害賠償金を、あなた(被害者)の入っている任意保険会社からもらうことができます。

これらの条項は、保険会社からきちんと説明されていないことが多いので、保険会社に確認することをおすすめします。

加害者が無保険の場合

【画像】
保険に入っていないので、加害者と示談交渉となります。そして、自賠責保険にも加入していないので、被害者の最低限を補償する、自賠責保険金も支払われません。しかし、救済策として「政府保障事業」という制度が使えます。

この制度を使うと、自賠責保険と同額になるまでの、不足分の損害賠償金(慰謝料/示談金)を政府の保障事業から、もらうことができます。手続きは、各損害保険会社でできますので、損害保険会社へお問い合わせください。

ただし1点注意が必要です。

政府保障事業では、すでに支払われた損害賠償金は差し引かれます。
例えば、加害者からすでに、いくらかの損害賠償金が支払われている場合は、その金額が差し引かれてしまうのです。

ですので、加害者が無保険の場合は、最初に政府保障事業に請求して、支払いが終わった後に、足りない損害賠償金を加害者に請求することが重要です。

自賠責保険が支払われないケース

被害者の最低限の補償をする自賠責保険ですが、以下に条件の場合は支払われませんのでご注意ください。

加害者に責任がない場合

例1:赤信号で止まっているA車に、Bさんの車が追突してBさんが死傷した。
例2:A車が信号無視したので、青信号で交差点に入ったB車と衝突してAさん死傷した。
例3:A車がセンターラインを超えて、対向車線のB車と衝突してAさんが死傷した。

自損事故で死傷した場合

例1:自分から電柱に衝突して死傷した

自動車の運行によって死傷したものでない場合

例1:駐車場に駐車している車に、遊んでいた子供が衝突して死傷した。

被害者が他人ではない場合

例1:Aさんの車に、Bさんが運転してAさんも同乗中に自損事故を起こしてAさんが死傷した。

自賠責保険と任意保険への請求の例

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例:ムチ打ちで治療中。治療費が苦しいので、自賠責保険に被害者請求して先に●円もらう。その後、任意保険会社と示談が成立したので、損害賠償金(慰謝料/示談金)から自賠責保険からもらった●円を引いた金額、●円を任意保険会社からもらった。

自賠責保険と任意保険のもらえる保険金比較表

損害内容 自賠責保険 任意保険
治療費
入院費
温泉治療
マッサージ
鍼灸治療費
実際かかった額(妥当な額) 原則としてかかった費用全額
入通院慰謝料 1日4,200円 裁判の判例を基準に計算(赤本/青本)
症状固定後の治療費・手術費 原則認められない
入院時付き添い費
在宅付き添い費
ヘルパーなどはかかった費用全額。
親近者は1日6,500円~8,500円
通院付き添い費 1日2,050円 1日3,000円~4,000円
雑費 1日1,100円 1日1,400円~1,600円程度
通院交通費 実際かかった費用 原則としてかかった費用全額
葬祭費 60万円 130万円~170万円
家具
自動車改造費など
実際かかった費用相当の額
装具・器具などの費用 義肢・インプラント・義眼・メガネ・補聴器・松葉杖に上限額あり。インプラント等は1歯8万円を限度とする。メガネ(コンタクトレンズ含む)は5万円が限度。 義足・義歯・義眼・補聴器・インプラント・かつら・車いすなど、医師の指示があれば認められる。交換が必要なものは、将来にわたっての費用も認められる。
将来の手術
義足・義歯・義眼など
半年から1年先までに確実に手術する場合、相当額が認められる。義足・義眼・義歯は5年から10年ごとに作り替えが必要なものが認められる。
子供学習費
保育費
被害の内容や子供の年齢、家庭の状況などから、学習・付き添いが必要であれば認められる。
弁護士費用 通常示談で終わるので請求できない。

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